第1章 あの日から
「……やっと来たか殺生丸。」
城の一番上の部屋にいた美鈴がゆっくり瞳を開けた。
襖を開けると、一番上から地面に向かって飛び降りた。
ドォン!!!
殺生丸の前に美鈴が姿を現した。
「遅かったな。殺生丸。」
「貴様は誰だ。」
殺生丸は鋭い眼差しで美鈴を睨みつけた。
「我が名は美鈴。殺生丸、お前の持っている天生牙を我によこせ!!!」
ザシュッ!!
美鈴は矢を放った。
殺生丸は美鈴の放った矢を素早く除けた。
矢は周りの草や岩を溶かした。
「破魔矢か。」
ただの破魔矢ではなかった。凄まじい威力とともに邪気も纏っていた。
ヒュン!!!
殺生丸も美鈴に向かって光の鞭を放った。
緑に光る鋭い鞭を美鈴も素早く交わしていく。
「ふっ…私相手に爆砕牙は使わぬか。」
美鈴の破魔矢も、次々と殺生丸に向けて放たれた。
美鈴は、腰に下げていた小さな壺を取り度した。
ドォン!!!!
中から夥しい数の妖怪が飛び出してきた。
殺生丸は妖怪を次々に光の鞭で倒して行く。
「ふふふ…殺生丸よ、お前が連れているりんはこの城の一番上にいるぞ。」
そう言って美鈴は城を指差した。
すると、壺から出て来た妖怪がりんの居場所目掛けて何匹も飛んで行った。
「…ちっ」
殺生丸は目の前の妖怪を投げ払うと、城の上に向かって飛んで行った。