第5章 修羅の道を歩む巫女
外で空を見上げる殺生丸に、椛は近寄った。
「先日は茅を助けてくれたそうで。礼を言う。」
椛が言うと、殺生丸がゆっくりと振り返った。
「この前会った時、何故私を見逃した?」
殺生丸は、椛から視線を外した。
「あの時の私ならすぐに殺せたはずだ。」
「…意味などない。」
殺生丸は静かに答えた。
「そうか…」
少しの間、沈黙が流れる。
「殺生丸様っ!」
後ろから、りんの声が聞こえた。
「あれ、椛様?どうかしましたか?」
フワッ…
殺生丸が宙に浮いた。
「殺生丸様もう帰っちゃうの?今日はありがとー!!!」
去って行く殺生丸にりんは手を降った。
そんな殺生丸の後ろ姿を椛はじっと見つめていた。
「りん、其方あの妖怪とは…いや、何でもない。」
「??殺生丸様はりんにとってすごーく大事な人です!」
りんは満天の笑みで答えた。
「そうか…」