第5章 修羅の道を歩む巫女
「世話になった。私のせいで、迷惑をかけてしまった。」
次の日、椛と茅は楓達に深く頭を下げた。
「椛殿のせいではない。またこれからも、妖怪退治の旅を続けるのか?」
「いや…茅と共に古郷に帰ろうと思う。」
椛の言葉に茅は驚いた。
「本当に?!椛様…」
「ああ、茅をもう危険な目には合わせたくわない。自分の故郷で茅と共に平凡に暮らそうと思う。」
「そうか。それが一番いい。達者でな。」
「さようなら、椛さん、茅ちゃん。」
「元気でね、茅さん。」
みんな椛と茅に別れを告げた。
「ありがとう!みなさん!!」
椛と茅は、村を後にした。
「ねぇ、椛様。本当にいいの?」
「いいさ。戦うことをやめた私はただの女になる。この先の人生はそう生きようと思う。」
この私が、妖怪に情けをかけられたのは初めてだった。
そして、こんな想いを抱いたのも。
椛は立ち止まり、よく晴れた青空を見上げた。
これからは、1人の女として…
「椛様!置いて行っちゃいますよー!」
「ああ、今行く。」
二人は新たな人生を歩み始めた。
おわり