第1章 あの日から
満月が綺麗に輝く夜、りんは邪見とともに洞窟の中で火を炊いていた。
「邪見様、殺生丸様はいつ戻ってくるのかな?」
りんはパチパチと燃える火に手をかざしながら、寂しそうに呟いた。
「知るか、お前は大人しく留守番しておればいいのだ!」
「邪見様だって置いてけぼりじゃない。」
「お前がおるからではないか〜!」
邪見は足をバタバタしてりんに怒鳴った。
ザワ…
急に、外から風が吹いてきた。
焚き火の火が消えて、辺りは真っ暗になった。
「え?!邪見様…真っ暗で怖いよー!」
「ええい、慌てるな!風で消えただけだ!今火をつける。」
パキ…
「?!」
洞窟の入り口から、誰かが入ってきた。
「だ、誰じゃ!!」
「ふふふ…殺生丸め、連れをこんなところに置いておくとは。」
暗闇で、人の姿は見えない。
りんはガタガタと震えて邪見の後ろに隠れていた。
「殺生丸様を呼び捨てにするとは!!何奴だ!」
邪見も人頭杖を持ってブルブル震えていた。
「黙れ。大人しくついて来い。」
キンっ…
何やら赤い光が放たれたと思うと、りんと邪見はそのまま意識を失ってしまった。