第3章 こいごころ
ゴオオオっ!
いきなり、強い風が吹いた。
上空を見上げると、そこには殺生丸の姿が見えた。
「うそ……殺生丸様。」
「やっぱり、りんちゃんがピンチのときはいつでも駆けつけてくれるのね!」
かごめは、りんの肩をポンポンと叩いて家の中に戻っていった。
スタッ…
殺生丸がゆっくりと、りんの前に降り立った。
りんは驚いて、ただ殺生丸を見上げた。
スッ…
殺生丸がりんの頬に流れる涙を手で拭った。
「泣いていたのか。」
殺生丸はりんの目をまっすぐに見て言った。
「あ、えっと……」
「どうした。」
「っ……」
ー言葉にしなければ伝わらない想いもあるのよー
かごめの言葉が一瞬頭を過った。
「……なんでもないのっ。殺生丸様、来てくれてありがとう。」
殺生丸はそれ以上は追求してはこなかった。
「りん。」
殺生丸はりんの前に膝をついて、白く細い手でりんの頬に添えた。
「せっしょうまるさま…」
りんは殺生丸に真っ直ぐに見つめられて頬を紅くした。