第3章 こいごころ
「りんちゃん…」
かごめは、りんの背中に手を当てた。
「りんも、信じたい。でも、最近不安なんです。本当に殺生丸様はりんを迎えに来てくれるのかなって。りんに、どちらかを選ばせてくれる日が本当に来るのかなって…」
ポロポロとりんの涙が夜の闇に光って落ちた。
「りんちゃんは殺生丸に恋をしてるのね。」
「恋……」
殺生丸と一緒に旅を始めた頃は、親か兄のように慕っていた。
しかし、月日や年を重ねて行くに連れてその想いは確かに変わっていった。
特に、殺生丸と離れて暮らすようになったこの三年間は。
「うん…あたし、殺生丸様のことが、好きです。」
かごめは、目に涙を浮かべ頬を紅く染めて言うりんをとても可愛く思った。
「その気持ち、ちゃんと殺生丸に伝えないとね。」
「えっ…」
りんはかごめの顔を見た。
「言葉にしなきゃ、伝わらないこともあるわよ?」
かごめは少し意地悪っぽく言った。
「うん…でも、あたしちゃんと伝えられるのかな…恥ずかしい。」
「焦らず、ゆっくりとね。」
かごめは、ニコッと微笑んだ。