第20章 人間と妖怪の恋物語
桂仙人が桜の枝に触れると、ボッと火花が散り瞬く間に枝は炎を上げ黒焦げになった。
「おーおーおー、またこりゃ厄介じゃな。この木に悪い悪霊が取り付いとる。桜の木霊は清いものじゃ。それを乗っとるとはかなりの邪気の持ち主だぞ。」
桂仙人の言葉に殺生丸は瞳を細めた。
「…既にお主は取り憑かれておるようじゃな。」
殺生丸に膝を付かせるほどの邪気の持ち主。
枝は庭の桜の木のものだった。
元々屋敷を建てる前から植えてあり樹齢100年は超えているであろうあの木に取り憑く悪霊となると、桂仙人のいうよう厄介である。
殺生丸はそれ以上何も言わずにその場を離れようとした。
「…待てお主。その悪霊を甘くみてはならぬぞ。そなた以外の者にも取り憑いておるやもしれぬ。木を燃やし、霊力の強い巫女にお祓いしてもらうのが良い。」
そう言って桂仙人は再び沼の中へ姿を消した。
…私だけならまだしも、あの屋敷にはりんもいる。