第20章 人間と妖怪の恋物語
『お辛いですか。殺生丸様。。』
突然、女の声が聞こえて来た。
視線を上げると、目の前に地面につくほどの長い髪の毛の女が立っていた。
殺生丸は立ち上がり、腰にある剣に手をかけた。
『お辛いですか、殺生丸様。でも、それは私の痛み。。』
女がすっと手を差し出すと、掌の上に心の臓が浮かび上がった。
女が心の臓を握ると、再び胸に強い痛みが走った。
耐えられない痛みに、殺生丸は剣を抜き女に斬りかかった。
『私はあなたに呪いをかけた。決して解くことのできない私の想いを。』
そう言うと、手のひらを開いた。
その途端、痛みもすっと消えた。
『覚えておいて下さい。私はいつもあなたの側にいる。そして、あなたの一番大切にしている者の側にも。」
女は悲しそうな表情を浮かべた後、姿を消した。
殺生丸はりんが眠る部屋の戸を勢いよく開けた。
りんは先程と変わらずスヤスヤと眠っている。
その姿を確認して、その場に座りりんの頬を撫でた。
この殺生丸に膝を付かせるとは。
何奴だ……