第19章 守るもの
「……んっ、」
りんがうっすらと瞳を開いた。
「…起こしたか。」
殺生丸はりんの頬に手を添えた。
りんは微笑みながら首を横に振った。
殺生丸が立ち上がって部屋から出て行こうとすると、りんが着物の袖を掴んだ。
「いかないで…!」
小さく、消えてしまいそうな声が部屋に響いた。
しばらく見つめあった後、りんはぱっと着物を離した。
「ごめんなさい。」
そういうと、くるりと背を向けて、再び布団の中へ潜り込んだ。
殺生丸は、そんなりんを後ろから抱きしめた。
なんだか、久しぶりの殺生丸さまの温もり…
「ねぇ、殺生丸さま。」
りんは向きを変えて、下から見上げた。
美しい殺生丸の瞳がりんを捉えた。
「…良いのか。」
りんは、こくんと頷いた。