第19章 守るもの
屋敷に着いたのは夜も更けた頃、
殺生丸はりんの部屋へ向かった。
襖を開けると、規則正しい寝息をたて、既に深い眠りについているりんの姿が。
殺生丸はりんを起こさないよう静かに腰を下ろした。
さらさらと、漆黒の髪をすくった。
りんを迎えに行った時、必ず守ると決めた。
しかし、りんを危険な目に合わせその上我が子まで失った。
殺生丸は自分の不甲斐なさな苛立ちを覚えた。
犬妖怪の血などどうでもいい。
最強の存在であった父を超えることをずっと目的としてきた。
父を超えるためには、最強の剣でも、闘って勝った数でもない。
愛する者を守る。
父でも成し遂げられなかった事。
りんを一生守ってこそ、最強の存在である父を超える。