第19章 守るもの
「….殺生丸さま、どうか我らの意見をお聞き入れ下さい!!!」
屋敷の重臣達はゾロゾロと殺生丸の後を追っていた。
「犬妖怪の血を絶やしてはなりません!!」
「…煩い。」
殺生丸は脚を止めて、重臣達を睨みつけた。
この屋敷に来てからその話ばかりだった。
やはりご母堂の屋敷では、殺生丸が人間の娘を側に置いていることを良く思わない者が半分以上だった。
りんが流産したという噂はすぐに広がり、我が娘をと縁談話を持ち出してくるものばかりだ。
邪見がやっとの思いで重臣達を追い払った。
「殺生丸さま、あやつら殺生丸さまが首を縦に振るまで付きまとう気でございましょうか。」
邪見も朝から重臣達の相手に疲れ切っているようだった。
「我が屋敷へ戻る。邪見、このことりんには言うな。」
「あ!殺生丸さま!お待ちください〜」
殺生丸はそう言うと、りんの待つ屋敷へ戻って行った。