第19章 守るもの
サアァ……
涼しい風が、部屋に吹き込んで来た。
風の匂いに、殺生丸は表情をしかめて立ち上がった。
外へ出ると、殺生丸の母親が立っている。
「りんはもう眠ったのか?」
母親が聞くと、殺生丸は相変わらず鋭い視線で睨みつけ何も言わずに部屋へ戻ろうとした。
「まて殺生丸。」
殺生丸はチラリと視線だけ母親に向けた。
ーーー
「…ん、」
翌朝、目が覚めて隣を見ると、殺生丸の姿がなかった。
起き上がり部屋を見渡してみるが殺生丸はいない。
「…りん様、おはようございます。」
襖の外から葉月の声が聞こえた。
「おはよう。殺生丸様は?」
「朝早く、お出かけになられました。」
「そう…」
りんはしゅんとして、着物を着替えた。