第18章 昔の恋人?
「…りん、帰らなくていいのか。」
楓の家の隅で、膝をかかえるりん。
何も話そうとしないりんに、楓はため息をついた。
「りんちゃん…」
すると、外からかごめの声が聞こえた。
顔を上げると、瑠璃も一緒だ。
外に出て、瑠璃と二人きりになった。
りんは気まずそうに、俯いている。
「…すまなかった。私のせいで、そなたにも危険な目に合わせてしまった。」
瑠璃が先に口を開いた。
「そ、そんな…」
「殺生丸様には、以前命を救われた。」
瑠璃の横顔が月明かりに照らされる。
「…私は妖怪に苦しむ人たちを救いながら旅をしていた。妖怪に助けられたのは、初めてだった。その時以来、もう一度会いたいと思い、旅を続けていた。」
(やっぱり、殺生丸様と瑠璃様は、昔……)
さっきから痛む心臓に手を当てた。
すると、瑠璃がくるっと振り返った。
「…殺生丸様と、契りを交わしたと嘘をついた。」
「えっ…」
サァァァッー…
風が吹き、木の葉が宙に舞う。