第18章 昔の恋人?
「…ふ、何を苛立っているのだ。人間の小娘ごときに。」
「黙れ。」
「ふっ、貴様も瑠璃と共に死ぬがいいっ、ぐ、ぐあっ?!」
先ほど吹き飛んだ腕の傷がどんどん広がってきた。
「な、なんだこれは!!!」
爆砕牙の力が、切った後も続いている。
バキバキバキッ!!
「ぐ、ぐわー!!おの、れ、瑠璃ーーー!!!!!!!!」
サァァァッー…
木の屑が、風にサラサラと吹き飛ばされた。
「おわった、」
かごめと珊瑚が起き上がって、辺りを見渡した。
「瑠璃さん、大丈夫ですか??」
「ああ、大事ない。」
殺生丸は、剣を鞘に収めると、ゆっくりとりんの元へ歩き始めた。
「殺生丸様!…ありがとうございました。」
瑠璃が頭を下げるが、何も言わずにその横を通り過ぎた。
振り返ると、りんの元へ向かおうとする殺生丸の背中があった。
木賊丸がりんに攻撃をしたときの殺生丸を思い出す。
(殺生丸様……)
りんは、木の陰から顔を出すと、こちらに向かってくる殺生丸に気が付いた。
慌てて立ち上がると、阿吽に跨って上空に飛び立った。
殺生丸は後は追わずに、去って行くりんを見つめている。
「殺生丸っ!りんちゃん、誤解してるわよ。追わないの?!」
かごめが言うと、殺生丸はりんとは反対方向へ飛び立った。