第17章 小さな光
女はゆっくりとりんに視線を向けた。
「だ、だれ….ここは何処。殺生丸様は…」
「ふんっ。殺生丸様などと気安く名を呼ぶでない。人間。」
冷たく言い捨てられる言葉に、りんは身体を強張らせた。
(人間…じゃない。妖怪だ。。殺生丸様の事を知っている…?)
「我が名は月姫。殺生丸様と同じ犬妖怪。先程お前が見たのは、この先起こるであろう未来だ。」
「未来…?」
りんはぐっと手を握りしめた。
「人間と妖怪から生まれる半妖の子の未来。悲惨なものよ。人間からも、妖怪からも受け入れられず、疎まれ。生きて行く場所などない。」
「っ…」
月姫の言葉に、りんの心は締め付けられた。
生まれてくる子が半妖。
その事については、たくさん悩んだ。
しかし、それでも産みたい。守りたいとりんは思ったのだ。
殺生丸とのこどもを。。
「あなたは誰。何故そんな事を言うの?」
りんの言葉に、月姫はふっと微笑んだ。
「我こそ、殺生丸様に相応しい。力のあるこの私が。そなたは目障りだ。……消えろ。」
ザシュッ!!!!
月姫がりん目掛けて剣を振り下ろした。
「きゃっ……」
りんのすぐ前の床に、刀は突き刺さった。
「そなたのような、人間の血が犬妖怪に混ざることは許されぬ。大人しく、殺生丸様の前から消えるのだ!」