第17章 小さな光
「…殺生丸様っ!」
屋敷に戻ると、りんが嬉しそうな顔で迎えた。
最近のりんは一日中寝ているので、昼間に会うのは久しぶりだ。
「………」
殺生丸はそっとりんの頬に手を寄せた。
今日は、顔色がいいようだ。
二人並んで、縁側に腰掛けた。
「…ねぇ、殺生丸様。りんね、ずっと悩んでたの。」
殺生丸の肩に寄り添っていたりんが呟くように言った。
「赤ちゃん…産んでもいいのかなって。」
殺生丸は、りんを見下ろした。
「私の身体は赤ちゃんを産めるのか。生まれてきた赤ちゃんが、辛い想いをしないのか。…殺生丸様は、本当は子供はいらないと思ってるんじゃないのか…って。。」
りんは殺生丸の手をきゅっと握った。
殺生丸の母の屋敷に行って、子供の話が出た時までは産んではいけないと思っていた。
だが、ご母堂の言葉にりんは産んでもいいんだと気持ちが変わって行った。
「…馬鹿な事を。」
殺生丸はそっとりんを抱き寄せた。
「お前も、子供も守る。」
殺生丸の言葉に、りんは嬉しくて涙を流した。
(殺生丸様がいてくれたら、りんは頑張れる。)