第16章 冬の月
「…殺生丸さま?」
殺生丸の部屋の前まで来て襖を開けるが、中に殺生丸の姿は見当たらない。
あれ、どこに行ったのかな?
りんは部屋を見渡したがどこにも殺生丸の姿はない。
しばらく縁側に座って殺生丸を待つことにした。
「綺麗…」
夜空を見上げると、月が光り輝いている。
ぼんやりと月を見ていると、吸い込まれそうな感覚に陥った。
「………」
殺生丸は、家来の元から部屋に戻ると襖が開いている事に気がついた。
外に目をやると、りんが座っている。
髪を右側に掻き分け、りんの白いうなじが露わになる。
冬だというのに何も羽織ってないりんは、身体を小さく震わせている。
殺生丸はため息をついて、りんに近寄った。
ふわっ…
「…っ?!せ、っしょうまるさま…」
殺生丸は、後ろからそっとりんを包み込んだ。