第15章 罪を犯す女
「あの河原のすぐ近くに、城がある。ある時、妖怪が城を襲った。ちょうど城の近くを通りかかった時に、そこの若頭の衛徳という男が、妖怪に殺されそうになっていた。特に善意でやった訳ではないが、その妖怪をあたしは殺した。衛徳は、あたしに何度も頭を下げたんだ。」
紅椿様が、人間を救った、、
[回想]
「…お助け頂き誠にありがとう存じます。」
「別にお前のためにやった訳ではない。そこを退け。」
「あの!!何かお礼をさせては頂けませんでしょうか?」
衛徳の言葉に紅椿はハァッと溜息をついた。
「あんた、あたしもたった今あんたを殺そうとした妖怪だよ。いいからさっさとどっかへ失せな。」
「…あの、明日の同じ刻にまたここへ来ては頂けませぬか?御礼をお持ちいたします。」
衛徳は深々と頭を下げるとその場を後にした。
「…紅椿様は翌日、その方とのお約束を守られたんですね。」
りんの言葉に、紅椿は罰の悪そうな顔をした。
「…し、仕方なく行ったんだ。。それからというもの、衛徳と私はあの河原でよく顔を合わせるようになった。」
「紅椿様は、衛徳様の事を好いておられるんですね。」
「こ、小娘!あまりにハッキリ申すでない…!」