第15章 罪を犯す女
紅椿は頬を赤く染めた。
そんな彼女を見て、りんはくすっと微笑んだ。
「…お、お前は、妖怪と共に居る事を何とも思っていないのか?」
「私は、幼い時から殺生丸様と共に旅をしていました。一緒に居る事が当たり前でしたので。でも、大人になるにつれ紅椿さんと同じように悩んだ時期もありました。でもそれでも共に生きていく事を決めたんです。今はとても幸せです。」
りんの言葉に、紅椿は視線を落とした。
「その傷、お父様がと仰っていましたが、衛徳さんの事が関係してるのですか?」
「ああ。人間と会っている事が知られてしまった。当然だ。会うのを辞めなければいけない事は分かっている。でも、どうしても忘れる事が出来ないのだ…」
小さな声で呟いた言葉は、紅椿の本心なんだろう。
りんは胸が痛んだ。
「…お前には助けてもらって申し訳ないが、あのまま命を落としていた方が良かったのかもしれない。」
「…っ、それは、絶対にありません!!!!」
大きな声を出したりんに、紅椿は驚いた。
「人様のお家の事に口は出せませんが…紅椿さんが死んでしまってもいいなんて事は決してないです!!それに、それに…」
りんは大きな瞳からポタポタと涙を流した。
「…誰を好きになるかは、その人の自由です。決して他の人に誰かを想う気持ちを潰させる事は出来ないと思います。」
だって、好きって気持ちに人間も妖怪も変わりはない…
「…お前は変わってるな。」
「…とにかく、もう少し休んでください。何かあったら呼んでください。」
りんは部屋を後にした。