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人間と妖怪の恋物語

第2章 少しの間



「やだっ!!どうして?!なんでっ!」


殺生丸は今までりんの好きなようにしろと言ってくれていた。

どうして急にりんのことを置いて行くことにしたのか、りんは分からなかった。


「殺生丸様、りんのこと嫌いになったの?」


りんは大きな目からポロポロと涙をこぼした。

殺生丸は、何も答えない。


「りん、いい子にするから。お願いっ。りんのこと置いていかないで!」


殺生丸は少し困った表情だった。

昔から、りんの頼みには弱い。

でも今回は、ちゃんとした考えを殺生丸は持っていた。


「…少しの、間だ。」


「え…?」

りんは涙を拭って殺生丸を見た。


「どちらでも、選べるように。」


「どっちにも?」



殺生丸は、りんを人里に返す訓練をしたかったのだ。

元々りんは人間の暮らしをしているはずが、殺生丸という大妖怪との旅を始めた。

殺生丸は何度も思った。

あのとき、やはり連れてくるべきではなかった。

当然、殺生丸との旅は命の危険が多い。

もし、りんを死なせるようなことがあったら。

安全な人里でりんがいつまでも元気でいてくれることのほうが、いいのかもしれないと。


それでもりんが一緒に来たいと言うのなら、その時はどちらか選べばいい。


りんは、少し黙って考えた。


「いつか、りんのこと迎えに来てくれる?」


「…ああ。」


「たまには、りんに会いに来てくれる?」

「ああ。」


すると、りんは少しさみしそうではあるが、微笑んだ。


「分かった。りん、ここで暮らす。」



殺生丸は、そんなりんを眩しそうな眼差しで見つめた。


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