第2章 少しの間
りんは急いで外に出た。
「殺生丸様!!」
楓の家の前に、殺生丸が立っていた。
「おかえりなさい!殺生丸様!」
りんは嬉しそうにニコニコした。
すると、殺生丸がりんに着物を差し出した。
「えっ?これ、りんに?」
「そうだ。」
りんは受け取ってぎゅーっと抱きしめた。
「ありがとうっ!大切にするね!」
殺生丸は、黙ってそんなりんを眺めた。
村から少し離れたところで、殺生丸は木にもたれかかり、りんは花をつんでいた。
気持ちのいい風が吹いている。
「ふんふんふーん♪」
りんは花を摘んでは、殺生丸に見せた。
「りん。」
殺生丸がりんを呼んだ。
「なぁに?殺生丸様。」
りんは殺生丸に近寄って行った。
「お前はこの村で暮らせ。」
ドクン……
りんは持っていた花を落とした。
「ま、またお留守番?邪見様と…」
りんは、顔を歪ませた。
「いいや、お前一人でだ。」
殺生丸のことばに、りんは今にも泣きそうな表情をした。