第15章 罪を犯す女
「…んっ、」
夕暮れの頃、紅椿はうっすらと目を開けた。
ここは、何処だ…
起き上がろうとすると、身体はまだ思うように動かなかった。
「…あ!目を覚ましたんですね!葉月ー!」
駆け寄るりんを見て、紅椿は無理矢理起き上がった。
「…お前、河原の。何してんだ!」
「いいから動かないで下さい。また傷口が開きますよ。」
りんはテキパキと傷口に薬草を塗り直した。
「痛っ、、」
りんの手当てに、紅椿は抵抗を辞めた。
「…これでよし。大分瘴気が減りました。血が止まればもう大丈夫です。」
紅椿はりんのことをじっと見つめた。
「…何であたしを助けた。あたしは妖怪だよ。」
りんは垢で手を洗いながら、顔を上げた。
「河原でも言っていましたよね。妖怪とか人間とか私には関係ありません。目の前で貴方が倒れていたから手当てをしただけです。理由が必要ですか?」
りんの言葉に、紅椿はちっと舌打ちをして目を逸らした。