第14章 あなたとの未来を。
「何の用だ。」
殺生丸はじっと庭を睨みつけ、冷たく言い放った。
「…夜分遅くに申し訳ございません。」
庭の茂みから、殺生丸と同じく人の姿をした犬妖怪が姿を現した。
殺生丸の母親の屋敷に使えている家来だった。
その者は殺生丸の前まで近寄ると深く頭を下げた。
「ご母堂様より、お言葉をお預り致しております。」
殺生丸は、奥の部屋で眠るりんの気配を消すため、自身の妖力を強めた。
「一度お屋敷に起こし下さいとの事でございます。」
殺生丸は何も言わず家来を見下ろした。
「では、私は失礼致します。」
それだけを伝えると、家来は去って行った。