第1章 あの日から
「さぁ!天生牙よ!我が夫を蘇らせるのだ!!」
美鈴は天生牙を白骨化した死体に向けた。
しかし、刀は何も反応しない。
「…何故だ!何故、夫は蘇らない!!」
「母上っ!」
殺生丸と双子が美鈴の後ろまで来た。
「…何故夫は生き返らないのだっ!」
美鈴は恐ろしい眼差しで殺生丸を睨みつける。
「母上!もう、正気になってください!父は天生牙でももう蘇らない!」
「黙れ!!天生牙は、一度死んだものの命を蘇らせるのではなかったのか!!!」
「…そやつはもう、蘇えることは出来ぬ。」
殺生丸が静かに言った。
「何故だっ!何故…どうして…あなた…!」
美鈴は夫の骨に抱きついて泣いた。
双子がゆっくりと美鈴に近づいて、天生牙を母の手から抜いた。
そして、殺生丸に手渡した。
「殺生丸様、家族みんな揃っています。お願いします…」
双子は刀を渡すと、母のもとに寄り添った。
「…殺生丸様…」
りんも殺生丸を見上げる。
殺生丸は、刀を握って美鈴達に向けた。
シュンッ!!
天生牙を振りかざすと、家族は光に包まれた。
そして、身体はだんだんと砂になって消えて行った。