第1章 あの日から
城の外から風が吹き込み、砂はサラサラと風になびいた。
ガタガタガタガタ!
ゴゴゴゴゴ!
城が崩れ始めた。
殺生丸はりんを抱きかかえ、外へ飛び出した。
城はあっと言う間に跡形もなく崩れ落ち、後には草原と、弓矢が残っていた。
「………」
りんは、その弓矢に駆け寄って手を合わせた。
殺生丸はそんなりんの後ろ姿を黙って眺めていた。
「…殺生丸様ー!!りーん!!」
邪見が二人を見つけて走って来た。
「邪見様!」
「殺生丸様っ、よくぞご無事で!!」
殺生丸はそんな邪見を無視して歩いて行く。
りんも、殺生丸の後を追って歩いた。
「ねぇ、邪見様。殺生丸様は昔は誰彼構わず殺したりしてたけど、今は違うよね?」
「ん?何じゃ急に。」
りんは立ち止まって殺生丸の背中を見つめた。
「殺生丸様は優しいもん!昔とは違う。優しくなったもん!」
邪見も、りんの言葉に殺生丸を見た。
確かに、殺生丸様は最近意味のない殺生はしなくなった。
やはり、りんに出会ってからだろうな…
「行くぞ。」
殺生丸が立ち止まり言った。
「はーい!行こっ!邪見様!」
「ぬわっ!殺生丸様!お待ちくださーい!」
彼が変わったのは、あの日から…
おわり