第11章 大好き
長い廊下を歩いていく。
中庭もあり、とても広い。
「…ここが、りん様のお部屋です。」
案内された部屋はとても広く、そして花がたくさん飾られていた。
「え、りんの部屋?」
りんは葉月を見た。
「はい。」
りんの部屋って…?
りんは中に入って部屋を見渡した。
襖を開けると見事な庭が一望出来た。
「ご説明致します。」
椅子に腰掛けると、葉月はりんの前に正座した。
「ここは、殺生丸さまがお建てになった屋敷でございます。私どもは、屋敷の家来でございます。何なりと、お申し付け下さい。」
この間、邪見さまが言ってた…!
「あ、ありがうございます。でも、私はここに住んでもいいんですか?」
りんの言葉に、葉月は首を傾げた。
「あの、私は…みなさんと違って、人間だから。」
りんは手をきゅっと握った。
今まで殺生丸と共に旅をしていた時は、気にはしていなかったが、妖怪に囲まれると自分だけが人間ということが気になった。
「殺生丸さまは、あなたを守るためにここへお連れしたんです。最初は、あなたをご母堂さまのお屋敷にお連れしようと考えてらっしゃったんですが、あの屋敷にはりん様の考えているように、人間を良く思わない者もおります。」
人間と妖怪は、本来関わり合いはない。
そういう考えを持つ者がいてもおかしくはない。
「…ですから、この屋敷をお建てになったんです。安心して下さい。ここにはりん様に心からお使えする者しかおりません。それに、さすがは殺生丸さまがお連れになったお方。りん様からは、他の人間には感じられぬ、霊力があります。」
里で暮らしている時に、楓に鍛えられたこの力。
りんは、そう言われて少し安心した。
「ありがとうございます。。」
「ここではご自由にお過ごし下さい。では、失礼致します。」
そう言って葉月は出て行った。