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人間と妖怪の恋物語

第10章 旅立ち


「りんちゃん…」

家にはいると、かごめと楓が待っていたというように、りんを見た。

「…ただいま。」

りんは床に座った。

「ちゃんと話は出来たか?」

楓は、りんに温かいお茶を出してくれた。

「はい。それで、楓さまとかごめさまに話があります。」


りんは、姿勢を正してかごめと楓を見つめた。


「………」

殺生丸と共に行けることは嬉しいが、ここを出て行くことは寂しい。

でも、自分で決めたこと。

しっかり、伝えなきゃ。


「……行くのだな、りん。」


楓が言った。


「……え」


「ずっと待っていたんだ。りん。それでいいんだよ。」

楓の言葉にりんは涙が溢れた。


「……楓さまっ……」


「りんちゃん、よかったわね。ずっと待ってたもんね。」

かごめも、りんに微笑んで言った。


「今まで…ありがとうございました…楓さまとかごめさまには、すごくすごく迷惑や心配かけてしまって…」


「何を言っておる。暮らす場所が変わるだけだろうに。いつでもここへ来たらいい。」

「そうよ!みんな待ってるわよ!」


こんな日が来るとは思わなかった。


両親や兄弟を亡くし、村では一人ぼっちだったあの頃。

殺生丸と出逢い、楓やかごめ達にも出逢えた。


「なんだよ!お前たちだけで話進めやがって!」

「そうですよ。私たちにも報告して下さい。」

「りん、体は大丈夫なのか?」

犬夜叉、弥勒、珊瑚が家に入って来た。



「みなさん……」


「殺生丸と一緒に行くなんて、お前も物好きだな。」


「こら、犬夜叉!りんちゃんはやっぱり殺生丸と一緒じゃなきゃね!」


「さみしくなりますが、いつでも帰ってくるといい。」


「りん、妖怪退治の時はまた一緒に頼むよ!」


りんは涙が止まらなかった。


もうここは、りんの故里。



帰る場所が、ある幸せ。




「みんな、ありがとう……!」

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