第9章 選択の時
「珊瑚ちゃん達、そろそろ戻ってくるかしら?」
かごめが楓の家で夕飯の支度をしながら外を見た。
「そうじゃのう。時期帰ってくるだろう。」
サァッ…
すると、外から風が吹き御簾が揺れた。
「あ、帰ってきたかな?!」
かごめは外へ出た。
「?!」
そこにいたのはりんと珊瑚ではなく、殺生丸。
銀髪をなびかせて、空を仰いでいた。
「せ、殺生丸…りんちゃんに会いに来たの?」
殺生丸はゆっくりとかごめの方を向いた。
「りんは何処だ。」
「…妖怪退治に、出掛けてるわよ。」
かごめの言葉に殺生丸の表情が歪んだ。
「…せ、殺生丸!言わせてもらうけどね、今で何してたのよ!なんでりんちゃんに会いに来ないのよ!!」
かごめが怒鳴りつけると、殺生丸は何も言わず立ち去ろうとした。
「待ちなさいよ!りんちゃんのことずーっとほったらかしといて、りんちゃんがやりたくてやってる妖怪退治なのよ!あんた、文句言うんじゃないわよ!!!」
かごめの声に、楓も家から出てきた。
「何事じゃ?…おお、殺生丸。」
ゴオオオッ
すると、ちょうど上空から雲母に跨る珊瑚とりんが現れた。
「りんちゃんが来たわ。ちゃんと謝りなさいよ!!!」
そういって、かごめは楓と共に家に入って行った。
「………殺生丸さま。」
雲母から降りたりんが言った。
「…じゃありん、ゆっくり休むんだよ。」
珊瑚もそれだけ言って自分の家に帰った。
二人の間に沈黙が走った。