第9章 選択の時
「気持ちが薄れる、か。」
かごめはそっと呟いた。
「確かに、離れて暮らしていたら気持ちも離れてしまうのは仕様が無いことなのかもしれない。でも、りんちゃんが本当にここで暮らしたいと考えているなら、そんなに思い詰めたりはしないと思うの。」
りんはかごめの顔を見た。
「寂しさを紛らわしたくて、殺生丸から無理に離れることは良くないわ。それに、殺生丸って冷たくて無表情で、何考えてるか分からないけど、でも…りんちゃんとの約束はちゃんと守ると思う。」
りんとの約束…
”どちらでも、選べるように。”
「……殺生丸さま、ちゃんとりんに選ばしてくれるかな。」
「うん!大丈夫よ!焦っちゃ駄目。ゆっくり待てばいいじゃない!私達はずっと側にいるからね。」
かごめの言葉にりんは笑顔を取り戻した。
「ありがとう、かごめさま…」
「さ!村に戻りましょう!昨日弥勒さまが貢いできた食材で今日はご馳走よ!」
そうだ、焦っちゃいけない。
待つって自分で決めたんだ。
殺生丸と共に生きたいって。