第9章 選択の時
「はぁ…」
その日の午後、りんは野原で空を眺めていた。
「りんちゃん」
「かごめさま…」
かごめもりんの隣に腰を降ろした。
しばらく二人で風に当たりながら黙っていた。
「ねぇ、りんちゃん。やっぱり最近元気ないわよ。殺生丸と何かあったの?」
かごめが、りんを見つめて聞いた。
「…何もないよ。ただ……最近殺生丸さまのこと、遠くに感じるんだぁ。」
「遠くに?」
「ここでの生活に慣れて、妖怪退治にも連れてってもらえて。でもいつかは殺生丸さまのところに行きたいってずっと思ってた。でも最近、それが叶う気がしなくて。」
りんは遠くを見つめた。
殺生丸と生きることを望んでいた。
人間の自分が、妖怪の殺生丸と共に…
「えへへ…なんか、待つことに疲れたっていうか。殺生丸さまの心が遠くに感じる。りんも、殺生丸さまと生きたいって気持ちがどんどん薄れてってる気がするの…」
「りんちゃん…」
かごめは、暫く何も言わずにりんの隣に座っていた。