第9章 選択の時
パシャパシャ…
りんは、川で着物を洗っていた。
先ほどの戦いや、この間の妖怪退治で着物は泥や血でベトベト。
「りん、これも洗っておいておくれ。」
後ろから、楓の声が聞こえた。
かごめの着物と、それからりんの巫女の着物。
「楓さま、今洗ってる着物が乾いてからでもいいですか?それを洗ったらりん、着る着物が…」
楓は少し黙り込んでから口を開いた。
「殺生丸に貰った着物を着ればよかろう。」
ピタ…
りんの手が止まった。
「……これが乾いたら洗います。」
りんは立ち上がり、走って行ってしまった。
「はぁ…」
楓は深くため息をついた。
「おーい楓ばばあ、これも頼むってよ!」
犬夜叉が着物を持って来た。
「りんは、どうしたものか…」
「なんだ?あいつどうかしたのか。」
犬夜叉が楓を見た。
「最近殺生丸が会いに来んでの、りんは落ち込んでおるのだ。殺生丸の話をしたがらないし、貰った着物も着ようとはしない。」
「殺生丸なら、昨日森の中にいたみたいだせ。」
犬夜叉は昨日確かに殺生丸の匂いに気がついていた。
「それは誠か?ならば何故会いに来ないのだ…」
「さぁな、あいつの考えてることなんて分かるわけねぇだろうよ!」