第8章 強くなりたい。
「大丈夫?かごめさま!」
「りんちゃん…玉藻御前は?」
「殺生丸さまと犬夜叉さまが倒してくれました!」
屋敷の男たちの石化も解けた。
「よかった、みんな元通りだね。」
珊瑚は屋敷を見渡して言った。
「殺生丸さまっ」
りんは殺生丸に歩み寄った。
「ありがとう…殺生丸さま。」
りんは恐る恐る殺生丸を見上げた。
フワッ
殺生丸は、りんを抱えて宙に浮いた。
「え…殺生丸さま?!」
そのまま屋敷の外へ出た。
りんを、森の中へそっと降ろした。
「……なぜお前があの場にいた。」
殺生丸は険しい表情でりんを見た。
りんはそんな殺生丸に少し恐怖を感じた。
「妖怪退治をしたくて…」
りんは小さな声で答えた。
今にも泣きそうな表情だ。
「もうあんな真似はするな。」
殺生丸は静かに言った。
「嫌…」
りんの言葉に殺生丸は振り返った。
「りん、強くなりたいの…だから、これからも妖怪退治をしたい…いつも殺生丸さまに助けられてばかりじゃ嫌なの…!」
グイッ…
いきなり、りんの体が強く引き寄せられた。
そして、殺生丸の逞しい胸の中に、りんはすっぽり収まった。
「……?!」
何が起きたのか分からない様子のりん。
殺生丸は強く、しかし優しくりんを包み込んだ。
「お前を、失いたくはない。」
「っ…!」
殺生丸の言葉にりんは目を見開いた。
殺生丸がこんな風に出す声は、初めて聞いた。