第2章 第1章 入学
楓の両親は共働き。
どっちも管理職で、おじさんは1年の殆どを海外で、おばさんは出張で過ごしてる。
兄弟・姉妹もいない一人っ子。
中2の時に、両親ともに長期の海外出張だとかで1年楓は家に1人きりだった。
見かねた私の両親は、ご飯と洗濯の面倒だけでも見てあげようと、楓の両親と話し合って、楓の両親がいない間の食事と洗濯物は面倒を見ることにした。
そんな生活も3年目。
付き合い出したのは、ちょうど同じ時期。
「花穂着いたよ!」
裕子に引きずられるようにして、電車を降りる。
「お世話になります……。」
「気にすんなって。ちっちゃいからね、そのまま陵南まで行ったら大変!」
裕子はそう言って笑った。
ホームに降りて一息ついたら、突然何かにぶつかった。
「あ、ごめんね……。」
楓みたいに遥か頭上から声がするから、空を見上げんばかりに上を向いたら、陵南の男子。
「あ、すいませんでした!」
どこかで見たことあるなーって思いながら、深々と頭を下げた。
「……ぷっ」
……笑われた?
「ははっ。小さくて可愛いねー。」
楓ばりの巨人は、そう言って電車に悠々と乗っていった。
そりゃ、あんたから見れば私なんか小人でしょうね。
「花穂‼あんた!今のっっ!」
裕子が慌ててる。
「誰だっけ?何か見たことあるんだけど……同中?」
こっちは必死で思い出そうとしてるのに、裕子から思い切り頭を叩かれた。
「裕子痛い……。」
「バカっ!あれ、陵南の仙道さん‼」
「え!?あの人が?」
あー、あのツンツン頭何かの試合で見たことあった!
「あの人、あんたのダンナのライバルになるよ~。」
「ふーん。」
そう言いながら、仙道さんの乗った電車を見ると、彼もこっちを見ていた。
ニコッと笑って手まで振ったりして。
「楓よりは、人としてマシだね。」