第3章 第2章 部活とすれ違い
100㍍くらい必死で走って追いかけたけど、楓はお構いなしにいつもより速い速度で自転車をこいで行く。
体力……なくなってるしぃ……
部活を辞めて、はや1年……
人間の衰えは恐ろしい……
これでも、足には自信があった方。
両手を膝について、下を向いて息を整える。
大きく深呼吸を3回位して、前を向いたら……
「……いない……」
人影一人ない、街頭の灯った住宅地の路地が延々と続いているだけ。
「……もぅ……何なのよ……」
恐らくは、仙道さんと駅から出てきたのが気にくわないんだろうけど……
「……こっちの話も聞けばいいのに……」
確かに手は繋いだけど、私は悪いことなんかしてない。
楓が駅に迎えに来てくれた事なんかなかったように、家路を一人とぼとぼと歩く。
……結局楓は家に帰るまでも、家に帰っても姿を見せなかった。