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煌めく瞬間にとらわれ

第3章 第2章 部活とすれ違い



次の日も、朝からいつものパターンで楓を見送った。

「……今日から部活。」

「うん、わかってる。はい、カギ。私も今日は、塾の体験があるから、晩ご飯も会えないかもね?」

「……塾?」

「そうだよ?私、これでも進学コースだから、塾でも勉強しないと追い付けないんだよね。」

「……そか……。」

「そ!部活頑張ってね!バイバイ!」

「おぅ。」

珍しく今日は、会話になってた‼
なんて、思わずニヤニヤしながら駅に着いたら、目ざとく裕子に目撃されてた。

「あら~?ダンナと何かあったー?」

「ふふっ。珍しく会話してバイバイしたよ!」

「ぶはっっ‼小学生かあんたは!」

裕子は、楓との事を応援してくれてた数少ないうちの1人。
楓と仲が良い時点で、大半の女子を敵に回してたから、裕子の存在は私の中で凄く大きい。

「私、あんたのダンナと喋ったことって数える程しかないわ!」

「え?喋ったことあんの!?」

「ははっ!その反応、フツーじゃ有り得ないからね。」

「相手は楓だもんね……。」

小学校、中学校を通して、楓が普通の人と同じように話をするなんて光景は正直お目にかかった事がない。

大体、楓の相手が一方的に喋って、楓が相槌を打つくらい。
実は、それでもかなり珍しい。



中3の時に、1人一役とかなんとかで体育祭の準備で、3年生が必ず役目を負ったときがあった。

役目はくじ引きで決まり、楓は大道具担当。
私は放送担当で別々になった。

同じクラスの女の子が「流川くんと同じ係になった~!」なんて喜んでたのが初日。

1週間も経たないうちに「流川くんは、私の事を無視する!」って怒り出して、次の週にはメソメソ泣いてた。

そして、何故か私に矛先が向いた。
まぁ、しょっちゅうだったから慣れたもんだったけど
「貴女がいつも一緒にいるせいで、流川くんは他の人と喋らないんじゃない‼もう、流川くんにまとわりつかないで!」
……理不尽だ。

こんなことばっかりだったから、面倒臭くて、付き合ってるのは勿論内緒。
楓があんなんだからバレなかったけど、多分、バレたらもっと大変だったろうな……とか思ってた。


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