第5章 同盟
昴輝は自分から名乗り、やがて頭首である日向に指さしをする。偉そうに言ってきた昴輝にイラつきを見せていた日向だったが頷いた。
「そうだ。オレが日向順平だ。あとは、お前から見て左から、伊月俊、緑間真太郎、高尾和也、桜井良のメンバーだ。」
日向は連れてきたメンバーの紹介をした。そのメンバーの紹介を避けたかった昴輝だったがそうもいかなくなってしまった。メンバー紹介をされたのならこっちもしなくてはならない。だけど、結紀は名前だけでは、下手したら性別が分かってしまう恐れがあった。
「そうだな。左が村井彰だ。右にいるコイツは名前がない。好きなように呼べばいい。」
昴輝が考え付いたのが、結紀に元々名前がないということにした。その方が相手にバレにくいと考えたのだ。勿論のこと、名前がないということで顔を険しくさせてしまう日向達。もしかしたら、何か分かるかもしれない…と思ったに違いない。
どこか重々しい空気となってしまった。しかし、その重々しい空気を高尾の笑い声で打ち破ってしまう。高尾の笑い声に不思議に思ってしまう結紀達や日向達。
「いや〜、マジ面白いわ〜。そんじゃ、フードを被ってるからフードって呼ぶわ〜。」
「…センスねぇ…。」
「ひでぇ〜。」
高尾のネーミングセンスを哀れむように見ていた昴輝だったが、その反応に笑ってしまう結紀。結紀にとって面白かったのかもしれない。流れて的に結紀の名前は『フード』となった。
そして、吸血鬼族と鳥族の"同盟"が確定した。これからお互いに協力していかなくてはならない。