第5章 同盟
そして結紀は高尾の方を向いて言った。
「先程は、助かった。ありがとう…。けど、お互いに敵同士だ…ということを忘れないで。」
「それは、分かってるけどよ。あっち、同盟でも結んだのか〜?」
「…狼族と狸族が同盟か…。」
"同盟"という言葉に、反応をする昴輝。同盟を結んで、吸血鬼の領土を狙われたらかなりの不利になってしまう。その事を考えた昴輝は頭を抱え込んでしまう。その様子から高尾がある提案を持ち掛けた。
「なぁ、あっちが同盟を結んでるようだし、オレたちも同盟を組まねぇか?」
「お前、何を言ってるんだ?」
「さすがに、驚いたね…。」
そう、高尾の提案は鳥族と吸血鬼族が同盟を結ぼうということだ。その提案に昴輝と彰は驚きの表情を見せるが、結紀は冷静のまま高尾を見ている。そして、次に結紀は昴輝を見る。
2人の視線が絡み合う。やがて、結紀が高尾に告げる。
「高尾和也。我の提案で、そちらの頭首を吸血鬼族の領土に呼び、同盟について話し合うのはどうだろうか?襲撃しないように、こちらでも手配をしておく。」
結紀の一言に高尾は、最初、目を丸くさせ驚いてた様子だったがやがて、ぶはっ!と吹き出して大笑いをする。何がそんなに可笑しかったのか、結紀、昴輝、彰の3人は不思議そうな表情をする。
「まさか、オレの提案が本気にするとは〜。お前ら、素直すぎ〜!まぁ、いいぜ!明日、話し合えるようにオレからも言っておくぜ!じゃあな!」
高尾は笑いながら、飛び立ってしまった。