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血の争い【黒子のバスケ】

第5章 同盟


「ここは、やけに静かなのだよ。」

「誰もいねぇみたいだしな…。」

そう周りを見れば分かるが、森林があるだけで、静かだった。吸血鬼がいないというのが分かる。本当に、ここが吸血鬼の領土か…というぐらいの疑いが出てくる。だが、その時…。

「やはり、来たか…。鳥族。」

そう言って高尾と緑間の前にフードを被った結紀が現れた。緑間はすぐに矢を構え、戦闘モードに入る。けど、高尾は構えない。それもそうだ。結紀から殺気を感じないのだから。

「真ちゃん、アイツだ。オレの治療をしてくれたのは。」

「なんだと?」

高尾の言葉に信じられないように緑間は鋭い瞳で結紀を見る。緑間も結紀から殺気を感じられなかった為、矢を構えるのをやめる。一度、高尾と緑間、そして結紀はお互いに戦闘をしたことがある。

敵同士なのだから、いつ戦闘が始まってもおかしくはないのだが、そんな雰囲気が全く感じられない。先に、口を開いたのは結紀だ。

「高尾和成、どうしてここに来た?ここは、吸血鬼の領土だと分かっているのか?」

「あ、オレの名前覚えてくれてたんだ。」

結紀の言葉からまさか名前を覚えてくれていたことを驚いた高尾だったが、それと同時に嬉しさも感じた。どうして、嬉しく思ったのかは高尾の中で不思議で仕方なかったが。

高尾の問いかけと同時に、結紀は緑間の方も見る。殺気は感じられなくとも、どこか警戒をしているのは見ていて分かる。

「もう一度、お礼を言いに来たんだ。意外にも、命の恩人だしな!」

「…は…?」

高尾の言葉は、唖然としてしまう結紀だ。
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