第3章 血祭りの真似事
「…こっちは変わりねぇが…。オレに任せるな。たまには、お前が人間の領域に行け…。」
今吉に文句をいいながらもきちんと伝える黛 千尋。黛も黒子と同様で、影が薄いという事で各族の領域をいとも簡単に入り、調査ができるのだ。
「すまん、すまん。ワシにも用事があるんや~。」
「…チッ。」
今吉の呑気な返事には、黛は呆れた表情をしていは舌打ちをするしかなかった。まぁまぁ、黛先輩…と声を掛ける黒子の姿があった。
すると、今吉は茶番はここまでや…と呟くように言ってから、もう一度黛を見る。その今吉の瞳は、何かを見抜こうとしていた。
それに気が付いた黛は、ハァ…とばかりに溜息を付いてしまった。どうやら、黛は何かを隠していたらしい。いや、元から隠すつもりはなかったのかもしれない。
質問されなかったから、答えない…というパターンなのだろう。
「ホンマに、人間は何も変わってないん?キミ…何か見てきたのちゃう?」
「お前には勝てねぇな。最近、開発された物があった。」
「どういうものですか?」
「散弾は知ってるよな?距離が短い程有利なやつだ。そんで、逆に距離が遠い程、不利なやつ。だが、それが改善された。遠距離でも届くようになったらしい。」
そう黛は、人間の武器情報を持っていた。今回は、銃だ。まして、散弾銃はかなり危険だ。その散弾もかなり改善されてしまったらしい。
ある意味、この散弾銃はかなりの脅威でもある。今吉は黛の話を聞いては、難儀やな~…と呟いていた。そして、ふう~…と静かに息を吐き出した今吉は席を立つ。
「情報、おおきに。とりあえず、これで解散や…ゆっくり休んでおくとええで。」