第3章 血祭りの真似事
「気づくのが遅かったから、2人を助けるのも遅くなったし…。」
彰の言葉に、2人は頬を緩ませてはついつい笑ってしまった。
「何謝ってるんだと思いきや…。」
「彰、謝らなくていいよ。他の皆も…ね?」
結紀は、周りにいる吸血鬼達に話しかける。そう、よく見れば、彰以外にも吸血鬼は集まっていた。他の吸血鬼達は、どこか申し訳なさそうな表情をしていた。
その様子から結紀は苦笑を浮かべるばかりだったが、やがては解散となり、各それぞれ警戒態勢を取るのだった。
そして、狐族と似たような能力を持つのが、狸族だ。実は、この狸族のある人物は狐族と吸血鬼族が戦闘を行なってる最中の様子をずっと影から見ていたのだ。
そのある人物とは…。その人物は、会議室に向かっていた為、その会議室の扉をゆっくりと開く。そこには、怪しげな笑みを浮かべる人物がいた。
「なんや~?黒子か~。どやった?吸血鬼と狐族の戦闘は…?」
「今吉先輩、そんな顔をされても困ります。援軍が来た時は、流石にマズいと思いまして、僕も退きました。狐族と吸血鬼の戦闘は、引き分け…という形です。」
そうその人物とは、黒子 テツヤだった。彼の影の薄さを利用し吸血鬼の領域に入り、狐族との戦闘を見ていたのだった。そして、狸族の頭首が今吉 翔一だ。
黒子は今吉に吸血鬼と狐との戦闘の報告を今吉にするのだ。今吉は、そうか~…と呟くように天井を眺めていた。すると今吉は、何かを思い出すかのようにそやった…と言ってから黒子の方を見る。
いや、正確には黒子の背後を見ていた。
「そっちは、どやった?」