第3章 血祭りの真似事

「黄瀬君、バレるの早いと思うが…。」

そこには、狐族である氷室 辰也の姿があった。もう1人居たのかと驚きを隠せない結紀と昴輝は、目を見開くばかりだ。

「狐族、まだ居たのか…。やはり、化けられるのは厄介な奴だ…。」

「ねぇ、キミ、どうして顔を隠す必要があるんだい？」

「……。」

氷室からの質問に結紀は、完全に黙る。それを察したのか、昴輝が氷室に襲い掛かる。それが、即分かった氷室は、昴輝の攻撃をすんなりと避けては離れる。

「お前に答えることはない。ここで、朽ち果てろ。」

「キミは、キミで厄介な相手だね。先程よりも殺気が凄い。」

「……失せろ。」

昴輝は、瞳孔を細めたまま氷室を睨み付ける。氷室は、やれやれ…というばかりに首を左右に振る。氷室が、瞳を開けた瞬間に動き始めた始めた。

地面を思いっきり蹴り、昴輝との距離を詰めた。氷室の動きはあまりにも綺麗だった。それを一瞬だけ結紀や昴輝は、目を奪われた。

「頭首ッ！」

結紀が昴輝に向かって、声を張り上げる。その声にハッとした昴輝は、防御の態勢を取る。氷室の蹴りが襲い掛かるのではなく、狐族の特徴である尻尾だった。

たかが、尻尾の攻撃だと…という油断をしてると殺される。死に至るほどの破壊力があるのだ。昴輝が防御態勢を取ったのにも関わらず…。

ドーンッ！という大きな音が鳴り響く。昴輝は、膝を地面に付き、頭から血を流している姿があった。

「貴方…許さない…。」