第3章 血祭りの真似事
慌てて結紀は、フードを被り昴輝と共に木の枝から一気に降りて、悲鳴が聞こえてきた方向へと走り出すのだった。
「どうした!?」
昴輝が声を出しながら、結紀と現場に着く。そこには、血だらけで既に意識ない状態で倒れている吸血鬼とそれを見て、怯えている吸血鬼がいた。
「オレが来た時には……。」
怯えている吸血鬼が弱々しく2人に話しかける。2人は、黙って亡骸となった吸血鬼を見詰めていたが、やがて昴輝が静かに言う。
「土に埋めよう。…死神が動く前に…。」
昴輝が亡骸の吸血鬼に向かって、手を伸ばそうとした時に、結紀が同時に動き出した。結紀の右脚で怯えていた吸血鬼に攻撃をする。
仲間が見たら、何事だと思ってしまうに違いがない。だけど、怯えていた吸血鬼は結紀の攻撃をジャンプして離れる。
「…お前、誰だ?僅かながら違う血の匂いがする。」
結紀は、低い声で怯えていた吸血鬼に問い掛ける。その時、怯えていた筈の吸血鬼は、口元を僅かにつり上げて、笑っていた。
「なんスか、バレてたんスか〜…。残念っスね…。ついでに、2人の首も貰おうとしてたんスけどね〜…。」
明らかに、偽者の吸血鬼だと分かる内容だった。結紀と昴輝の瞳孔が細くなり警戒をし始める。
その時、偽者の吸血鬼の周りから白い煙が漂い始める。2人は、視界を奪うつもりか、というわけでその煙を払う。
煙を完全に払ったら、そこには黄色い耳に、黄色い尻尾が特徴の狐族がいた。
「早速、バレちゃうとか予想外っスね〜。余程の実力者っスよね、アンタは……。」