第3章 血祭りの真似事
「…途中までは上手くいったけど…。仕方ない、青峰、火神、葉山…一旦退く。他の奴らにも連絡しろ。」
霧渓の一言に、青峰と火神ははぁ!?と声をあげては驚いていた。なんで!?とばかりな表情をする2人だった。
だけど、霧渓の苦しい表情を見た青峰と火神は、何も言えなくなり大人しくその場から走って姿を消していった。
「…結紀、なんで来た?来るなって言っただろ。」
昴輝は、いつもよりも低い声で結紀に注意をする。それを同意するばかりに彰も頷いていた。結紀は、フードを取り昴輝の質問に答える。
「じゃあ、我(わたし)が助けに来なくて…もし、あの場面で2人共…仮に死んだら誰が我の護衛するの?他の人は嫌だよ、昴輝と彰じゃないと…。」
「…。」
今でも泣きそうな結紀の表情を見た昴輝と彰は何も言えなかった。やがて、昴輝は、ごめん…と呟いていた。それを聞いた結紀は、微笑んでいたのだった。
無事、吸血鬼との戦いから帰って来た狼族たち。すぐに、それぞれの安否を確認し始めた。
「…怪我人とかの情報は?」
霧渓が、そんな事を言い出したら、近くにいた早川があっ!と声を急に張り上げるのだった。その声に驚いた青峰は、不機嫌そうな表情でなんだよ…と呟くように言った。
「オエ(レ)の目の前に、物凄い速いやつみた!!」
「…その話をもう少し、詳しく聞かせてくれ。」
早川の言葉に目を細めて、話を聞こうとする霧渓だった。早川は、結紀に遭遇し2、3人の仲間が一気に殺されたことを説明した。