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血の争い【黒子のバスケ】

第9章 記録と繁栄


結紀は、背後から近寄ってくる黒子の方を向いた。今吉は勿論、黒子自身も驚きの表情を浮かべる。そして、彼女は左手の爪を長くさせる。

「黒子っ!」

今吉の声と同時に、結紀の手が振り払われた。ザシュッ!と肉が裂かれた音が耳に入ってくる。よくよく見れば、黒子の腹部から左肩にかけて切り裂かれ血が噴き出していた。

「がっ!!」

黒子の口から血を吐く。相当なダメージをくらいながらも、彼は結紀から離れる。結紀の左手は黒子の血で染まっていた。

「……黒子、無事か?」

「……急所は外れているので、なんとか……。」

今吉は、黒子に怪我の具合を確認する。幸いにも、重傷とはいえ、急所が外れていた。それに対する結紀は、不満な表情を浮かべていたのだ。

結紀の背後で、ゆっくりと立ち上がる昴輝。彼は小さな声で彼女の名前を呼ぶ。それに気付いた結紀は、振り向かずに優しい声掛けをする。

「……大丈夫、我が貴方を守る。だから、貴方も我を守って。」

その言葉は、心強いのと同時にどうも心苦しさを感じた。彰が失って尚更なのかもしれない。2人は、彼のために少しでも長く生きないといけない。残された者の使命でもある。

「……お前には勝てないな……。頭首、結紀の背中は必ず俺が守る!」

昴輝の声は力強かった。彼の姿を見た結紀は、ニヤリと笑っていた。嫌な予感を感じ取った今吉。今まで勝機を感じていたが、今は勝機どころではなくなった。

ここは、素直に撤退した方がいい。今吉は、撤退を選ぶ。これ以上、ここにいては全滅してしまうのだ。
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