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血の争い【黒子のバスケ】

第9章 記録と繁栄


結紀の考えを見通すかのような、今吉の発言。彼の言葉に、思わず呆然としてしまう結紀。言葉を出せない結紀の様子に、ますます今吉は妖しい笑みを浮かべる。

「鳥族対策で、狼族を配置してあるんや。気づかんかった?」

「……っ……。」

この吸血鬼の領土に侵入したら、結紀が感知する。しかし、今回ばかりは感知することがなかった。だから、今吉の言葉に反論できなかった。感知ができないほど、慎重に侵入してきたのか……はたまた、結紀がそれほど今吉達に集中し過ぎたのか、どっちかなのだ。

どっちにしろ、今は結紀にとっては最悪の状況だ。どうにかして、この状況を打破しなくてはならない。

「それより、コイツどうするんだ?」

黛が今吉に話し掛ける。コイツとは、昴輝の事だ。黛の一言に、結紀の心臓がドクン、と大きくはね上がる。

結紀の頭の中で彰と同じ結末になるのではないかと思い始めた。昴輝もここで、死ぬかもしれない……そんな予感を。

――やめて、やめて……。

頭の中で警告が鳴り響く。今吉は、ニヤリと怪しい笑みを浮かべて、黛に言った。

「えぇよ、処分して。」

「っ!!」

結紀と昴輝は、息を呑み込む。逆に、黛と黒子に関しては、何一つ表情を変えなかった。黛は、「わかった」と静かに言う。昴輝は、必死にもがき続ける。

――嫌、嫌、嫌嫌嫌嫌っ!

彰を失って、さらに昴輝も失うと流石の結紀でも耐えられない。身体中の血が速く周り、心臓も速く動く。
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