第6章 頭首
昴輝は、足を組み日向達の方を向いた。
「吸血鬼は回復力がある事はお前達も知っているな。その中で一番優れているのはあいつだ。更に言うなら、吸血鬼でも痛みは感じるが、あいつは一切痛みを感じない。」
「それって、かなり無敵であり万能じゃないですか?!」
昴輝の言葉にヒ日向達は驚きを隠せずに先に声を出したのは桜井だ。桜井の言葉に昴輝の瞳に悲しみが宿る。一旦、目を瞑り、すぐに目を開いて続けて話す。
「無敵でも万能でもない。痛みが感じない分、それに回復力の優れにはいいと思うが、デメリットがその分大きい。デメリットは、高熱を出すということだ。それも命に関わるぐらいにな。」
昴輝の話を聞いて、全てを察した緑間が言った。
「つまりその高熱を下げる治療は、あの湖と関連しているということなのだな。」
「あぁ、そうだ。」
緑間の言葉に肯定をする昴輝。湖に潜る事によって、結紀の体調がよくなる理由は、未だに分かっていないが、結紀が助かるのならこの治療方法を使うしかないのだ。普通に看病とかしても良くならないみたいだ。
「なぁ、一つ質問いいか~?」
突然と高尾が質問すれば、昴輝はなんだ…と短く答える。
「頭首のアンタに聞くんだけど、お前達にとってあのフードの存在ってなんだ?」
「あいつは…俺たち、吸血鬼達にとって全ての存在だ。あいつになら、この吸血鬼達は命を捧げるだろう。」
昴輝の言葉を失う日向達。昴輝の瞳を見れば、真剣その者だった。頭首に命を捧げるなら、日向達でも分かるが頭首でもない人に命を捧げる…という事に驚いたのだろう。