第6章 頭首
だが、そこでもビリビリと服が破れる音が聞こえてきた。この繰り返ししては、いずれか服が全部破れて、顔が晒されるのは時間の問題になってきた。結紀は、早くこの戦闘を終わらせなければ、と考えていた。
ならば、次の攻撃で決着をつけなくてはならない。結紀は、白銀から離れて姿勢を低くする。その事に察した白銀は口元をつり上げて、大鎌を力強く握り締める。
やがて、2人は右足に力を入れて一気に距離を縮める。その瞬間、ザシュッ!と肉が裂ける音が響き大量の血が流れる。結紀の右手は、白銀の心臓外れた左の方に刺さり、逆に、結紀の右肩から左腰まで斬られていた。
真っ二つというところまではいかないが、かなりの重傷を負った。いや、もはや2人共が重傷だ。今すぐ、治療しなければならない。すぐに、2人は離れる。白銀自身が思ってた以上にダメージを受けてしまったことで、右膝を地面に付いてしまう。
だが、結紀は立っていた。痛みも一切感じていない。その事に白銀は、思わず苦笑を浮かべていた。しかし、すぐ足に力を入れて立ち上がる。だが、結紀によって怪我をした部分から更に血が流れ出す。
「やべぇな、こりゃ…。」
「…どうした?死神の頭首?もう、くたばるのかな?」
「お前を狩るまで死なねぇよ!」
そう白銀が叫び大鎌を構える。よく見れば、結紀の傷が徐々に回復していっているのだ。
「お前の回復力には驚かされるぜ…。どの他の吸血鬼より優れてるな…。」
そう、結紀の回復力は普通の吸血鬼より高いのだ。血があればすぐに再生し始めるのだ。この場で白銀が血を流しているため、それを利用し回復していっているのだ。