第6章 頭首
「っ……。」
「どうしたんじゃい?動きが鈍くなっているわい!」
逆に岡村の動きが速くなってきている。岡村の拳が彰に襲い掛かる。彰は岡村の拳を受け止めるが足に力が入らず、右膝が地面に付いてしまう。
「くっ!!」
「…そのまま押し潰してくれるわい!」
岡村はそのまま力を加える。そのままの勢いで彰を潰そうとする。押し負けている彰は、顔を苦しそうに歪めるばかりだ。このままでは確実に彰は潰されて殺されるだけだ。この状況をどうにかしてはならない。
「彰っ!」
「よそ見とはいい度胸してんじゃねぇか?」
結紀は、気になっては彰の事を呼んでしまった。その隙を見逃さなかった白銀は、ニヤリと笑っては結紀に向かって蹴りを入れ吹き飛ばしてしまう。ドガーンッ!と大きな音が鳴り響く。
結紀が吹き飛ばされてしまったことに、彰は驚きの表情を浮かべるばかりだ。やがて、心には僕のせいだ…とばかりに後悔が生まれ始めた。彰は歯を喰いしばって、腕にありったけの力を込める。
そして、岡村の力に対抗する。その事に少々ばかり岡村は驚いていたが、まだ余裕なのか笑みを浮かべるばかりだ。だが、その瞬間、岡村の目の前から彰が消えた。消えたことに岡村は驚きの表情を浮かべる。
「ど、どこに消えたんじゃい!?」
「ここだよ。」
彰の声が聞こえてきたのは岡村の真後ろだった。岡村は驚きながらすぐに振り返る。だが、ズシャッ!と肉が切り裂かれる音が聞こえてきた。そう、彰は、爪を鋭く長くさせて、岡村を斬ったのだ。