• テキストサイズ

【夢色キャスト】虹色ハーモニー【短編集】

第1章 【新堂カイト】


「お、いたいた!あのさー、俺の動きだとここ邪魔なんだよね。何とかなんないかな?」

勢いよく開かれたドアから入ってきたのは、城ヶ崎昴。

彼は身体能力が高く、バク転とかを舞台上でやる為か衣装の装飾が取れてしまったり動きに邪魔だと言ってしょっちゅう手直しの依頼に来ている。

「えー、これ直すなら陽向君の許可とってよ。デザイン変わっちゃうから…あ、昴ちょっと寸法測らせて!」

「陽向にかぁ…許してくれるかなあ。ん、わかった」

首に巻いていたメジャーを取れば、彼の寸法を測ってノートに書き出す。腕の丈、首周り、腰周り。今度の衣装をイメージしながら様々な箇所を測り終えれば、またメジャーを首にかけた。

「よし、ありがと!そういえばそろそろ練習再開でしょ?さっき陽向君が言ってたけど…」

「あぁっ!そうだった!やば、響也さんに怒られる!じゃあ、ありさも頑張れよ!」

私の言葉に思い出したような昴は、私に手を振ってから、バタバタと慌ただしくレッスンルームへと走っていったようだ。

その姿を見送りながら私も手を振れば、クスクスと一人笑った。

私と昴は同い年の為、カンパニーの中では一番仲が良いかもしれない。しかし彼は主演キャストで私は裏方、仕事以外だと接点もあまりないのだが。

静かになった製作室。
ふぅ、と一息つけば先程中断していた作業に取り掛かった。


レッスンルームからは響也さんと蒼星さんらしき歌声が聞こえてくる。それは、私の作業BGMみたいなものとなり、どんどん製作のペースは上がる。

学生の頃から舞台が好きで、ミュージカルが好きで。

デザイナーに憧れていた私は服飾関係の専門学校を卒業、幾つかの劇団の衣装担当を経て、夢色カンパニーに辿り着いた。

主演キャストの7人はみんな才能に溢れていて、そんな方たちと一緒に舞台を作り上げることが出来るなんて、未だに夢のようだと思う時がある。


陽向君の素敵なデザインを形にして、どんな素晴らしいミュージカルが出来上がるのだろうかと想像するだけでワクワクしてくる。

夢中になって生地を裁断していれば、気付いたら夜の9時を回っていた。
/ 6ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp