第3章 暴投
「部活決まってないなら野球部のマネージャーやれば?」
お兄ちゃんのそのひとことがきっかけで
今私は野球部の第一グラウンドに来ている。
本当は部活をやるつもりはないんだけどね…。
グラウンドをぼーっと眺めているとお兄ちゃんを見つけた。
同じクラスの沢村くんのボールを受けている。
『キーン!』
金属バットの気持ちのいい音が聞こえる方に目を向けると選手たちがマシンを使ってバットを振っていた。
「あそこの6番のやつが倉持だよ」
「わ、お兄ちゃん」
いつの間にか後ろにいたお兄ちゃんは
背番号6番を指差した。
「お兄ちゃん?!!」
後ろで沢村君が騒いでいる。
「そ。可愛いだろ?俺の妹。」
「御幸って御幸一也の妹だったのかよ!!?」
「う、うん(笑)」